モントルーでの会議が済んでから翌日、ロッシュ・ド・ナイという近くの山へ、田村氏に誘われて登山電車で登ってきた。モントルーから一時間ほどのところだが、日本で言う箱根登山鉄道以上の急坂でかなり高度を稼いだ。画像は山頂からの眺めで左側の底にレマン湖が広がっている。はるかにローザンヌ方面へと広がりゆく眺望は日本で言えば塩尻峠からの諏訪湖の眺めを髣髴とさせる。
このほとんど水平の視点の高さでスイス空軍機がジェット音をきしませながら通過していった。そのあとにハングライダーを楽しむ人たちが増えてきた。ちょうど、10人ほどのグループの人たちが山頂に上ってきて写真を撮って欲しいといわれた。少しばかり話を聞くと、私と同じく難聴者の国際会議の参加者のグループでドイツから来たという。会場で私を見かけたそうで声をかけてくれたとのことだった。難聴者会議の参加者は補聴器を使用しなくても通常会話が可能な人たちも多い。彼らもその一団で日本で言えば聴覚障害と認定され得ない程度に聞こえの不自由なことに自己のアイデンテイテイを求めている人たちが多いのだ。ストックホルムでもボストンでも同様であった。日本からの参加者の団長が京都大学教授の故入谷先生であったことからも日本でもその動きがあることが理解できよう。入谷先生は角川文庫から漢詩選を著作出版させた方でもある。USAのボストンの分科会で少しばかり英語でのスピーチを行ったときに自分の発言をOHPスクリーンにリアルタイムで表示するという難聴者への聞こえの保障が異国の決してネイチブではない私の発言を余すことなくなされた(筆記してくれた)ボランテイアの実力と熱意に感動したものだが、日本でも要約筆記という通訳がもっと普及して欲しいものだ。
先日、google の地図で探したモントルー周辺の航空写真。左がレマン湖でモントルー市街地が俯瞰される。 当方の宿泊したホテルは中央上部のシャンビーというところで、モントルーから電車で九十九折りに駆け上がってゆくところにあった。会議の湖畔の会場へは電車を使わずに斜面の急坂と階段などを利用して通った。同宿の田村氏はオランダでの生活で交通事故に出会い少々不自由な後遺症を抱えていて電車で通われた。私自身、先年、横断歩道で交通事故に遭い入院4ヶ月近い怪我を負って現在も跳びはねるとズキズキと痛む体を抱えている。ホテルの窓から見下ろすレマン湖の風景は対岸にフランスの国土が広がっているのとあいまって忘れがたい眺めだった。
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